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メソッド

大学時代、仲間うちでユニット公演を行った際
演出を担当したのは、友人とその彼女だった。

彼女は、どこかの演劇研究所とやらに所属していた経験があるらしく
友人は、彼女が唱えている演出論、演技論に心酔しきっていた。

当時、お笑い芸人を目指していたオレは
演技論なんて初めて聞く話だったし
「演劇」という世界のルールもまったく知らなかったから
「まあ、そんなモノか」と思って、彼女の話を聞いていた。

いま思えば、スタニスラフスキイの演技論とは全く別の
どこから仕入れてきたのか?というようなメソッドだった。

友人とその彼女、そしてオレ。
さらには高校時代、演劇部だった友人の友人や
関西ではそこそこ名の知れた劇団の研究生のような子たちもいた。
とにかくみんな無名だった。

彼女は、オレらのような演技の素人に対して
まず、「演じるとは?」を理解させるためメソッドの一部を披露した。
「喜怒哀楽」という感情とはどのようなものかを理解させる
というつもりだったようだが・・・
彼女自身、その方法論の目的を理解していなかったようで、
オレらに何の説明もなく、突然
「いまから怒りなさい!」
「怒り過ぎて泣いちゃってもいいわ! とにかく怒りなさい!」
といい出した。

・・・え?

ポカーンとするオレらの態度に対して、先に怒りを露わにする彼女。
ウンウンと頷くだけの友人。
大阪城公園の近くにあった
青少年センターかどこかの会議室は異様な空気に包まれた。

「わたしを怒りなさい!」
「なんでもいいわ! わたしを怒ればいいの!」
「もう! なんなの、あなたたち」
「いいわ、だったらわたしがあなたたちを怒るから、
 そしたら、自然とわたしに対して怒りが湧いてくるでしょ」

それから彼女は、メンバーに対して
的外れな誹謗中傷の言葉をぶつけはじめる。

誰も、その言葉に怒りを覚える者はなく、
最終的には吉本新喜劇ばりに
「まあ、きょうは初日だから、このくらいにしておいてあげる」
といわれ、稽古は終わった。

怒りが湧いてくるというよりも
「ああ、演劇ってダメだな」
と思った出来事だった。

本人的には完璧な演技論を持っていたハズの彼女はその後
AV女優になった。
そういうシーンの撮影でも、あの演技論は活かされていたのだろうか?
そして、彼女の後ろでウンウン頷いていた彼は
「一旗揚げてくるぜ!」と言い残し上京。

数年後、オレも上京して、まったくの偶然で再会。
この再会劇にも、エピソードがあるのだが、それはまた別の機会にしよう。
ひとつヒントとして、キーワードを残しておくならば・・・「映画監督・山本晋也」。

さて、再会した僕らは、居酒屋に入って旧交を温めた。
かつての友人は、東京のどこかの町で、王将の店長を任されていて、
芝居はまったく諦めていた。
「いや〜東京に負けたわ〜」
というようなコトをいいながら、ニタニタして
当時付き合っていた、
東京外大の彼女との結婚を夢見ているようなことを言っていた。


再会からもう10年以上が経った。
2人の行方はわからない。
このご時世、なにかしら引っかかるかなと思い
ネット検索をしてみるのだけど、それらしき人物は見あたらない。
いまどこで何をしているんだろう。

オレが演劇をやるようになったキッカケとなった出会いだっただけに
2人の行方が気になってしまう。

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